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【 愛 社 精 神 】 (H20.12.25)
平成20年12月12日に名航に在籍した元自衛官の集い (顧問、嘱託等でオールドウイング会と呼称) の忘年会があり、出席してきました。
その席で現在、南工場で嘱託として働いている後輩の1人が挨拶で
『 最近 私は 三菱名航が本当に嫌になりました。』
と発言したのです。 話しの前後は聞きのがしましたがこの言葉には自分の耳を疑いました。
自衛隊を定年退職して三菱に再就職し、現在お世話になっている会社に向かって後輩の1人からの発言だったからです。
この発言には耳を疑い、少なからず驚きました。
「こいつはなんてことを言うんだ。」
私は予てより [愛社精神] について一文を書き始め、推敲を重ねているうちに書き続ける次の文句に行き詰まり、
また続けて書こうと云う意気込みも揺らいできてそのまま放置していたのでした。
この発言を聞き、自宅に帰ったら思い切ってもう一度あの続きを書いて完結したいという気持ちになったのです。
いろいろ想いを巡らし、やっと昨日、下のような拙文を書き終えることができました。
然し、このまま会社に向かって発表することには少し躊躇しております。
許されるならば先輩のみなさま方に事前にご笑覧いただき、忌憚のないご意見・ご叱責を頂けたらと思っております。
関係する他の方にも見ていただき適切なご忠言、ご所見を頂くことができましたらこの上ない幸いです。
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【 愛される名航に 】 (H20.12.27)
高校野球の放送を聴いて故郷を懐かしみ、オリンピックで揚がる日の丸を観て感動しない日本人はいないでしょう。
三菱名航出身のOBは新聞紙上に [MRJ] や [H2B] の記事が載ると関心をもって真っ先に目を通します。
そして将来の大成を願う気持ちは愛しい我が子を思う気持ちと変わらないのです。
先の [F-2事故] (H19,10,31)を知った時は胸を痛め、計り知れない苦しみを感じました。
負傷したパイロットの回復はどうだろうか、混乱した職場で後輩たちは耐えて頑張っているだろうか、自分達OBに何かできることはないだろうか、良いアドバイスや手助けはないだろうか。 などいろいろと心配をします。
私は1969年、33歳で自衛隊(3等空佐)から名航にテストパイロットとして割愛入社し、
以来 丸30年 国のため、会社のため、そして家族のために働き、それなりに貢献し、成果を揚げて63歳で退職できたものと確信しております。
その間充分な給与をいただき、そのお陰で家族を養い、2人の子供を養育し、家も建てることができました。
そして退職した後も名航に対して感謝の気持ちをもって健康の維持に努め、
車はギャラン、エアコンはビーバー、家電は三菱電機、ビールはキリンを合言葉に旧三菱コンチェルン製品の愛用を決めこみ、
自衛隊出身であると同時に三菱出身者であることを何時も誇りにして、少しでも両者に恩返しと貢献ができればと
今も家族に話し伝え、老後の日々を過ごしております。
最近、飛行管理課OB会の会長に就任し、その行事として世話になった故郷の小牧南工場の見学を企画し、事前にお願い電話をしてみました。
処が返ってきた回答は、
『 工場見学は特別な方や団体(議員や子供会など)以外は現在全てお断わりしております。
OB会も例外ではありません。 資料館だけの見学なら可能ですが。』
と予想もしてないそっけない返事だったのです。 工場見学の後で懐かしいあの美味しかった工場食のカレーうどんを食べさせて貰いたいと自分なりの腹案をもって臨んだのですが、残念ながら最初の入り口はぴたりと閉ざされていたのです。
永い間、訪問の機会がなかったOBにとっては様変わりしたであろう今の小牧南工場を後輩の皆さんの案内で見学できることはどんなに大きな喜びだったかと残念でなりません。
結局希望はかなわず、21年度のOB会は20年12月11日に名古屋市内での観劇と懇親会で終わってしまったのです。
私たち名航OBは誰も
三菱名航が大好きなのです。 いつまでも大好きのままでいたいのです。
三菱名航を愛したいのです。 いつまでも愛し続けていたいのです。
私たちOBは名航に対していつまでもこのような気持ちを持ち続けていたいのです。
私が入社した40年前にはスリーダイヤの社員バッチを着用していなければ工場の中に入門させてもらえませんでした。
当時金バッチを付けた人に出合うと赤バッチの自分にはすごく羨ましい気持ちになったのを鮮明に憶えています。
然し昭和60年頃だったと記憶しますが何故か三菱バッチの佩用が禁止され、今日に至っております。
先日、電気自動車 [ミツビシ i-MiEV] のTVCMを観ていると開発責任者と思われる方の襟には懐かしいあの金バッチがついていたのです。
何故、重工、名航では社員バッチの佩用が禁止されたままなのでしょうか。
自分が三菱社員である事をいつも自覚していることは大切なことであり、この気持ちが愛社精神の高揚にもつながり、
断線事件のような不祥事の防止にもつながると思います。
自分も社員の一人として社業の遂行に少しでも貢献したいと云う気持ちにしてくれるのではないでしょうか。
今も佩用の禁止を続けなければならないほどの不利な点を見いだすことは私にはできません。
昭和40年頃、F-104の領収試験飛行で南工場を訪問していた頃、領収官室の正面に2枚の額が掲示してありました。
それは三菱重工の「三綱領」と「社是」でした。 即ち、
[三綱領] : 「 所期奉公、 処事光明、 立業貿易 」
[社 是] : 「 顧客第一の信念に徹し、社業を通じて社会の進歩に貢献する
誠実を旨とし、和を重んじて公私の別を明らかにする
世界的視野に立ち、経営の革新と技術の開発に努める 」
の二つの言葉が額入りで掲げられておりました。
勿論、当時の各部課長室や会議室には同じように2枚の額が正面中央に掲示してありました。
しかしいつ頃だったか取り外されてしまい、今も部屋にはその影さえなく現在の社員の多くは知らない過去の事実になってしまったのです。
自衛隊員だった当時の私には 「さすがは天下の三菱だ」 と関心し、自分も一段と気持ちを引き締めて領収飛行に飛び上がった事を憶えております。
「三綱領」は四代社長の岩崎小彌太氏が創業者岩崎弥太郎氏の遺訓を酌んで制定され、
後者は後になってこの綱領の主旨に沿って新しい文言として定めら、社員が精神的支柱となってきたのです。
今の名航にはこの様な精神的支柱がないがしろにされているのではないでしょうか。
それとも今風には不要な要素なのでしょうか。 今の若い中心管理者の中にはこのような過去さえも知らない方が多いのではないかと危惧します。
三菱の歴史を軽視して社員の精神的な要が揺らぐ事はあってはならないと思います。
社員一人ひとりが自己の職務に全力で精励する支柱となるものは現在でもやはりこの [三菱精神] を守ることで十分だと思います。
世間の風潮に憚らず本来あるべき三菱名航の姿を現出して欲しいと願う者です。
いつの世になっても、どんなに落ちつきを失った世になっても人として生きてゆく以上、人間には精神的支柱が絶対に必要だと思います。
航空機整備作業で後を断たない不祥事の発生などは各社員の頭の片隅に開祖彌太郎の教えが一文字でも影として残っていたらこんな事は起こらずに済んだのではないでしょうか。
私自身は現在、[菱光会] の1メンバーに属しておりますが、残念ながら会員であることに特別なプライドが感じることができません。
こんなことで良いのでしょうか。
重工退職者として誇れる会合・組織だったと思います。 自分は名航出身者だと誇りをもって云えるようになりたいのです。
ましてや [菱光会] に所属していることは社員の中で誇りであり、喜びを感じるものであって欲しいと思います。
[菱光会] 会員はそれぞれに「三綱領」、「社是」に沿って勤務・精励し、社業の発展にそれぞれの分野で貢献してきたと云う自負と誇りがあります。
現職の時には、OBの方に教えを請うて多くの伝統の技術を学び取りたいとお願いして工場に訪ねて来てもらったこともありました。
課長に就いてからは教えを請うために先輩の自宅を訪ねたりもしました。
然し今では工場に押しかけるデモ隊の輩と同様にOBの工場見学さえ許されないのでは悲しい限りです。
社業の発展のために日夜汗を流し、命をかけて頑張っておられる現役の方々もいずれはOBとなるのです。
名航のOBは会社にとっては決して一般の人ではないのです。
名航で共に働いた貴男たちの同志であり、先輩達なのです。
ましてや選ばれて入会した [菱光会] の会員はある種の特別扱いがされても当然だと考えますがこの考えは間違っているでしょうか。
[菱光会] のバッチは年1回の総会に出席するときに佩用する以外に今は使う道がないのです。
名航・名誘の月刊誌が毎月郵送され、年1回の懇親会に出席して現所長のお話を直に聞けるだけの [菱光会] では魅力不足ではないでしょうか。
所属することに責任と誇りが与えられ、巣立った名航への愛社精神が醸成され高揚されるものであって欲しいと思います。
[菱光会] 本部の方やお世話をして下さる役員の方々には感謝を申しあげますが、
工場見学さえも許可されない名航のシステムについては何らか別の途が残されているのではないかと思うのです。
ではどのような改革をして欲しいかを述べるところではありませんが、[菱光会] に対するお願いとして思いつくまま数項を記述してみます。
(1)、会員バッチの有効な活用の途。
(2)、写真付きの身分証の発行 ⇒社員に準じた入退門。
(3)、従業員販売制度の適用 ⇒三菱製品の愛用、愛社精神の高揚、販売促進。
(4)、航空事故、トラブル等の解決に各分野でのOBの経験、技能を活用。
(5)、内示後の人事情報の開示。
(6)、春祭り、夏祭りへの招待。
(7)、名航、名誘の出勤日カレンダー配布 ⇒社員との一体感を醸成。
(8)、社員との [E-mail] 交信の制約の緩和。
OBに対する処遇を少しでも温い方向へ改善する事は現職の社員にとっても将来に希望が生まれ、「三綱領」、「社是」に沿って業務精励の心(やる気)が向上すると思います。 従業員の方はその家族から
『 お父さんが三菱の社員で良かった 』
と思ってもらえるような未来にして欲しいのです。
OBの中には堂々とトヨタの車に乗り、パナソニックのエアコンを使って、かっての恩義を忘れ去っている人が多いのではないでしょうか。
これらの改善によって三菱名航、ひいては三菱系列全体で得られる有形無形の利益は少なくないと信じます。
先般の田母神航空幕僚長の問題に対する政府の対応では、本筋を極めないまま彼を退職させることで全てを封じ込めて一切が片付けられてしまったことは極めて残念なことだと思います。
彼が主張したかった本筋をもっと聞くべきではなかったでしょうか。
『 好きでない国を守ることはできません 』
という一言だと理解しています。
私たちOBも巣立った古巣 三菱名航 を心底からから好きであり、熱愛し、心の支えとしているのです。
明日に向かって一層の発展を遂げることを願い、自分の目で見守りたいのです。
管理者の皆さんにこの願いが届くものでしたら、どうかわれわれOBを片想いにさせないで欲しいのです。 - 以上 -
[追記] 飛行管理課OB会の小牧南工場見学会は 田中元所長のお力添え により去る H22/03/17 無事実施できました(H22/03/25)
[ 中日新聞の参考記事 (H21,11,24)]
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- 以上 -