@ お遍路の概要
(平成27年11月03日 更新)
目 次
第 一 部
@ お遍路 の 概要
A お遍路を決意した理由
B 出発前 の 準備
C 霊場に関する資料
( その他のページ )
D お遍路日記(阿 波)
E お遍路日記(土 佐)
F お遍路日記(伊 予)
G お遍路日記(讃 岐)
H 終わりに
(@) 「四国の文化について」
(A) 「道路事情 について 」
(B) 「遍路道案内について」
(C) 「お勧めの打ち順変更」
(D) 「遍路宿の現状」
(E) 「納経所の対応」
(F) 「 難所 の 峠 」
(G) 「上手な歩き方」
(H) 「 所 見 」
I 皆さんから頂いた「E-mail」
昨年(平成11年)春、63歳で会社勤務を終え、
この度 初めて四国歩き遍路 に挑戦してきました
それも区切り打ちではなく、
1番霊山寺から88番大窪寺まで通して歩いてお参りし、
結願した後出発寺の1番霊山寺に帰ってきて四国1周を達成し、
続いて弘法大師が祭られている高野山に参拝し
初めての結願成就を報告し、
無事に達成できたことに感謝する
「 お 礼 参 り 」
をしてきたいと考え、実行に移し、今回達成できました
これは私にとって初めての貴重な体験でした
今回の通し歩き遍路の体験を
『初めてのお遍路 (平成12年春)』
と題して書き記しました
第 一 部
3月09日(H12) :23:30 特急バスで名古屋駅を出発、3/10 05:10 徳島駅着。
3月10日 :07:30 1番札所「霊山寺」で遍路支度を整え、参詣後お遍路に出発
-- 全行程 約1,200km余りをケーブル、車両等全く利用することなく通し歩きでおへんろ --
4月10日 :07:20 88番札所「大窪寺」で本堂、大師堂に参詣し、納経を終えて[結願]
4月11日 :09:00 1番札所「霊山寺」に参拝し四国1周の通し歩き遍路を達成し、高野山(和歌山県)に移動
4月12日 :08:00 高野山「奥の院」にお礼参りの参拝をして[結願成就の報告]をした後 帰宅(17:00)
A お遍路を決意した理由
* 歴史ある四国霊場八十八ヶ所の通し歩き遍路と云う日本伝来のもっとも苦しい難行に挑戦する決意をした。
* 1986年に見つかった多発性嚢胞腎と生涯続く週3回の透析治療に苦しむ妻の心の癒しを見つけるため、
苦行の「四国通し歩き遍路」で自からも苦しみに正面から挑戦する決意を胸に収めて出発した。
途中で苦痛に耐えられなくなった時、妻の毎日の苦痛を想いだす事でくじけることなく歩き通して結願できた。
* 四国各地の空港はパイロットとして空から何度か訪れたが、車でも歩行でも旅をした経験がないので、歩きお遍路しながら各地を訪ねてみたいと思った。
-「独り通し歩きの理由」:
* どうせやるなら 初めての体験なので 一番 苦しい方法でお遍路を体験してみたい と思い、独りで、全行程を通しで、それも全てを歩いて、結願まで成し遂げてみたい。
四国お遍路には次の様な方法が行われております
@、歩き遍路 ⇒ 通し歩き、 区切り打ち
A、車遍路 ⇒ 観光バス(通し、 区切り)、 マイクロバス(友人など少人数纏まって)、 自家用車(友人、夫婦、親子など)
★ 自家用車でのお遍路を計画される方は 高松・藤井さん提供の [案内図] をコピーして活用して下さい
-「出発日の決定」:
* 退職後年金生活に入って 丁度1年を経過したので 思いきって何かに挑戦 してみたい
* 数々の大戦が続いた二十世紀最後の年・[ミレニアム] を記念 し 叔父叔母ら多くの恩人・先人の供養をしたい
* 想像を絶する、そしてまたと体験できない試みなので、身心ともに自分なりに 体力、気力のあるうちに挑戦 し、自分を試 してみたい
* 思い立ったら気持ちが冷めないうちに出発し、 お遍路さんで混み合う前に歩き始めたい
* 寒さが和らぎ、暑くなる前で、四国の 梅、桜、桃などの花咲く 一番快適な季節に
* 大安吉日の 3月9日 (木) を自宅の出発日と決定
★ B 出発前の準備 [重要]
(1)、「参考資料」
@ 空海の史跡を尋ねて「四国遍路ひとり歩き同行二人 本册」B5 (92ページ)
A -〃- [別冊] (約200ページ) → *必携品 △内容に古いものもあるので要注意
* へんろみち保存協力会 (пF089-952-3820)
* 本代 (本別冊共で)=3,500、 送料=\310、合計= \3,810
* 郵便振替番号:01640-5-34780
* 雨に濡れたりして消耗が激しいので事前に補強しておくとよい
B 「四国八十八ヶ所巡り」 (昭文社 \1,400 本屋で購入)
(2)、 歩き遍路携行品 : 出発までに 準備する物
* [服 装] は 遍路装束 として白色を基調に 灰色などが好ましい
* 携行品の選定は
[小型] ・ [軽量] ・ [シンプル] ・ [兼用] ・ [防水] を旨とし 1グラムでも軽くするために我慢すること
どうしても不足する物は途中で補充する
* 次の 「携行品」 の員数は 着用品等を含めた全数を示す
・ リュックサック × 1
* 大き過ぎないものが好い( 防水対策 )
* 軽い物を下に、重い物を上に詰めると歩き易い
・ 手提げ袋(のに適した大きさで (30×20×8cm 位の小型布製のトートバッグがよい) × 1
* 100円ショップで入手可能
* 納経帳、別冊 や歩きながら食べるパン、牛乳など携行する
・ ウエストバック × 1
* 納め札、ナイフ、コンパスなどを入れる
・ 帽子 (野球帽) × 1
* お遍路の定番は 菅笠と金剛杖 ですが 風が強い時は使えない事が多い
(多くのお遍路さんはリュックに結び付けて歩いている)
* 白色系 の野球帽などで代用可能
* 風の飛ばされない対策を (あご紐か帽子留めクリップを使用)
・ 白衣 × 1
[白衣 について]
遍路は、上下白づくめの服装になるのが基本です。
白衣の背中に弥勒菩薩の (ユ) という梵字を書き、その下に 「南無大師遍照金剛」 と書きます
この白衣に宝印を押してもらい、身内に死者が出たときは着せてあげます
この世で仏さまへ積んだ功徳の証 とになります
* 袖付きと袖なしの2通りがあるが、夏期以外は袖付きが好ましい思います
* お遍路の途中で適時洗濯して使用する
* 結び紐などが遍路途中で綻びてくるので事前の補強 (補修用に針と糸を携行する)
* 1番霊山寺で購入可能 (2回目以降のお遍路にも使用できる)
・ 長ズボン × 1
* 伸縮性・防水性・軽量のウオーキングに適した材質
* 蹴りあげた小石が靴に入らない為に 少し長い目のズボンを選ぶ
* 半ズボンは夏場でも山中は薮、害虫などで不適と思われる
* [ズボン] と [靴] と [靴下] は歩き遍路の基本用品 慎重に選定
* スポーツ用品店で入手可能
・ 下着/上 (アンダーシャツ) × 2
* 速乾性の材質
(汗で濡れても肌への不快感が少なく、洗濯後の乾燥も早い)
* スポーツ用品店で入手可能
・ 下着/下 (パンツ) × 2
* 速乾性の材質
* グンゼなど綿のブリーフまたはスポーツジム用のサポーターが歩きやすい
* スポーツ用品店で入手可能
・ 靴下 × 2
* 速乾性の材質で厚手のものがよい (\1,040)
* スポーツ用品店で入手可能
・ 手袋 × 1
* 滑り止めの付いた薄手の白い手袋がよい
* 保温用と山中や転倒時の危害予防に必要
* 100円ショップで入手可能
・ 靴 × 1
* 5,000円くらいのスニーカーで十分 (高価な靴でなくても充分)
* 軽量で裏の厚いものが好ましい 薄底の靴は疲労が大きい
* 足は人それぞれに特徴がある。 私の体験では
・最初は 靴の内敷きを入れた状態で、厚手の靴下を履き、紐を締めてフィットする位の大きさで選ぶ
・足の浮腫がひどくなり、2cmくらいは大きくなる
* 靴底 (かかと) が磨り減り、更新 (買い換え) が必要になる
* 中間点過ぎ (700km辺り) の街中で余裕をもって更新する (なかなか靴屋が見付からない)
* 私はイタリア製の短靴(約16,000円)を準備して出発したが、結局足にマッチせず途中で返送しズックに履き替えて歩いた
その後、購入したイシイ(名古屋市内のスポーツ用品専門店)で拡大して貰い、7回も裏貼りを繰り返し11年間もの間使用できました
・ 長袖シャツ × 1
* 往復の旅路や寒い時に重ね着する
・ 雨着は :
* 業務用の大型ゴミ袋を細工して使うと軽くて便利 (頭と両手を出す穴を開けると雨衣になる)× 1
* 軽量の雨傘 × 1
* ウインドブレーカー (軽量で上着のみ) (寒い時の保温着を兼ねる)
・雨着を持参する場合は ポンチョが蒸れが少ない
・厚いゴム、ビニール材質の物は重く、蒸れてきて適さない
・ 遍路保存協力会出版・別冊 (経路図、宿舎案内) × 1
・ 納経帳 × 1(本霊場八十八寺用 と 別格用 は別々になり、一体物はない)
* 1番霊山寺かインターネットで入手可能
[ 納経帳 と 納経掛け軸 について]
般若心経を写経して納め、その証として、霊場寺院が宝印を押したものです
今では、御参りした証に押してくれます
後々の家宝になるので、大切に扱います
・ 般若心経、光明真言 × 1
* 事前に1枚の紙にプリント準備するとよい (軽量化)
・ 納め札 × 約220枚 (予備含む)
* 事前に必要枚数(予備を含めて約220枚)を準備 当日使用分には日付など必要事項を記入しておく
[ 納め札 について]
もともと、修行するものが行場に残した木の札でしたが、今は紙の札に「奉納八十 八ケ所霊場巡拝」と書かれてあります
名と住所を書き入れ、本堂や大師堂、諸堂におさ めます
お接待を受けた時も、一枚差し上げます
・ ろうそく、線香 : 適量
* 途中のお寺で入手可能
・ 日々の [行動計画用紙] 出発前に必要枚数を準備
・ 遍路記録用具 × 1式
* 大学ノート、メモ用手帳、筆記具(黒・赤のボールペン)
・ 布製袋の財布 × 1
* 布袋の紐(20cm)をズボンのベルトに通しポケットに入れる(落とさないため)
* 持ち歩く現金は5千円以下で十分、残りはリュックに保管
* 賽銭用の5円硬貨は適時両替して準備する
* その他の硬貨は最小限に(重い)
・ 現金 :
* 所要の金額(2〜5万円)を携行
* 緊急用(郵便局で引き出し出来なかった場合のため) としてその他に
現金5万円位をリュック内に保存
・ 郵貯キャッシュカード × 1
* 遍路道沿いに多数の郵便局があり、現金の払い戻しは容易
* 郵便局は土、日閉鎖されているので要注意
* 預金額は、1万円 / 日 を目安にして、出発前に預けておく
・ 健康保険証のコピー × 1
・ 必要なら眼鏡 × 1
・ 腕時計 × 1
* 電池式は新しいバッテリーに交換しておく
・ デジカメ × 1
* 充電器を持参
・ 携帯電話又はテレカ × 1
* 携帯電話=足摺り岬近辺や山中などは圏外で通話が出来ない処が多い
* 旅館の予約などは携帯電話がなくても途中の公衆電話(テレカ使用)で十分可能
・ 小型磁気コンパス × 1
* 紐を付けて紛失しないよう注意
* 歩き遍路途中の 地点評定 ・地図判読 に必須
・ 万歩計 × 1
* 紐を付けて紛失しないよう注意
・ 小型計算機 × 1
* 日々の計画に必要
* 100円ショップで入手
・ 帽子留めクリップ (又はあご紐) × 1
* 海岸、トンネル内など強風で帽子が飛散防止
* スポーツ用品店で入手
・ 反射布テープ × 1
* 早朝やトンネル内での事故防止
* 作業着・安全着の店で材料購入して事前に手作り
・ 小型ナイフ(肥後ナイフがよい) × 1
* DIYショップで入手
・ フラッシュライト × 1
* 軽量小型、早朝出発時に必要
* ヘッドライトが便利
・ 100円ライター × 1
・ 医薬品等 :
* バンドエイド 、 沃チン(10cc程度)、 赤チン(10cc程度)、 リップクリーム(又はメンソレ)、
湿布薬、 脱脂綿 (少々)、
* マッチ棒、輪ゴム(数本)、その他必要品 (途中補充可能)
・ テーピングテープ:(巾が2cm、3cm、5cm の3種類がある) ×各1
* 肉刺が出来る前に予防使用が望ましい
* 使ってみて自分なりに不要な巾のテープは持たない(重量軽減のため)
* 途中のドラッグストアー等で入手可能
・ 洗面用具 :
* 安全剃刀、歯ブラシ、小型の歯磨きクリーム、(洗面用石鹸などは省く)
・ タオル × 1
* 入浴、汗拭き、襟巻き を兼用
・ 裁縫道具 :
* 白、黒の木綿糸(各2mくらいの長さ)、縫い針
・ トイレ用ペーパー :1回使用分 (ビニール袋に入れて防水する)
* トイレットペーパーの無いトイレが多い、 使用したら途中で補充
・ 洗剤 :
* 少量 1回使用分くらい、 途中で補充
・ 洗濯挟み × 4ヶ
・ ビニール紐 × 1本
* 約 2m 洗濯物干しなどに利用
・ ビニール袋 × 3〜4枚
* 別冊、納経帳などの防水用、整理袋、入れ物用、
・ ビニールの風呂敷 × 1
* 軽量で非常用の雨除けなどに便利に活用できる
・ 非常食(硬パンなど) × 1食(軽量)
(3)、歩き遍路携行品 : 前日 又は 当日 に準備する
・ 昼食 :
* おにぎり、パンと牛乳など
・ おやつ :
* バナナ、みかんなど
・ お茶 :
* 500ccペットボトルの緑茶など
・ 飴、菓子、その他 :
(4)、遍路専用の用具
次の物品はお遍路さんを象徴する正式な装束です。
・ 金剛杖 : 雨天の日、 険しい山間部などでは邪魔になる事がある
[ 金剛杖 について]
歩く遍路は、この「お杖」 が歩かせてくれることを実感します
弘法大師の化身であり、密教の知恵の象徴した、五輪塔を模してあります
宿についたら杖の先を洗い、床の間などに立て掛けて大切に使います
無くても不便を感じないで歩ける。 必要になった時は竹棒などで代用可能
・ 頭陀袋 : 手提げ袋 (小型トートバッグ)で代用可能
・ 輪袈裟 :
[ 輪袈裟 について:
元は、僧侶が袈裟を五つ折、七つ折にして首から掛けて運んだのが始まりですが、仏教に帰依する意味で着けます
・ 経典 : 般若心経、光明真言 などはコピー品で代用可能
・ 真言宗用数珠 : 自宅にある数珠で代用可能
・ 持鈴 :
[ 持鈴 について]
お遍路さんの特徴は、この鈴の音に象徴されます
仏様を美しい音で、もてなす為の鈴です
・ 手甲 : 白手袋で代用する
・ 菅笠 : 雨降りや陽ざし除けには好都合だが、強風時には使用不可能な時がある。
白い帽子で代用可能
[ 菅笠 について]
雨に打たれ、太陽に焼かれて歩く遍路の必需品
笠には、
同行二人 (と書いて、)
迷故三界城 (迷うがゆえに三界は城なり)
悟故十方空 ( 悟るがゆえに十方は空なり)
本来無東西 (ほんらい、東西なく)
何処有南北(いずくんぞ南北あらん)
と書いてあります
(5)、事前の 準備ウオーキング
・ 新しい靴、靴下 の試用を兼ね 12/3/1 から 3/8 までの8日間 連日 自宅をスタート・ゴールにして
・ 目的地やルートを変えて 25 - 35 km 、5 -7 時間 歩いた
(6)、準備 ウオーキング から得た 教訓
・ ウオーキング中の身体の冷えは禁物です (保温対策)
・ 雨が降ると手先 が冷た くなるので 防水・保温 の手袋 が必要
・ 金剛杖の使用は 片手がふさがれるので、雨の日 や 山道 ではむしろ邪魔になる場合がある
・ シャツと靴下は即乾性 の物が 着用感が良く好しい
・ 靴乾燥用のドライヤーを携行する必要はない
・ 不意の 雨 や 小降り にはビニールの風呂敷があると好都合
・ 唇荒れ対策が必要 ( リップクリーム、 メンソレ)
・ 肉刺対策は事前に ( テーピングテープ、バンドエイド、ヨウチン、アカチン、脱脂綿、マッチ棒 )
・ 汗拭き は 入浴用を兼ねて小さなタオルで我慢する
・ 準備ウオーキング は少なくとも 連日1週間は 必要 (疲労は5日目がピーク)
・ 8日間の準備ウオーキング により 6週間以内 で 通し歩き遍路を 結願 できる自信と勇気 がもてる
(7)、お遍路の コース (行程) の選定
・ その日の自分の体調、 天気具合、 歩こうとするコースの難易度 等を考えて
・ 次の日の予定コースのお寺、宿舎の配置も考えて
・ お寺に到着できる時間と納経時間 (07:00〜17:00)を考えて
・ 可能ならば早朝の出発がよい
・ できるだけ 15時まで に宿舎に到着出来るようにする
・ 当日のコース立案には 次の日以降の予定ルートも参考にして、十分に余裕をもたせて緻密に計画する
・ 天候が許せば トンネル経路 を選ぶより、峠越えなどの 旧へんろ道 を選ぶ方がよい
峠越えの道は 景色が良く、空気がきれいで、へんろ情緒がある
トンネルの中には歩道の無い危険なトンネルもある ⇒逐次改良されている
* 「日和佐トンネル(690m)」(国道55号、23番薬王寺の先)
* 「焼坂トンネル(966m)」(国道56号、七子峠の手前) ⇒ 焼坂峠
* 「鳥坂隧道 (1117m)」(国道56号、十夜ヶ橋の手前) ⇒ 鳥坂峠
* 「峠御堂隧道(623m)」(44番大宝寺の裏) ⇒ 千本峠
* [逆打ち](八十八番から遍路コースを逆に歩くお遍路)は想像以上に困難を伴うお遍路です
順打ちを経験して十分な知識と自信を抱いてから始めて下さい
山中で道に迷ったら取り返しが付かないことです
大変危険な試みです
(8)、宿 について
・ 宿舎 の予約
天気予報、遍路道の難易度、体調、宿の配置などを考慮して歩く行程を決め希望の宿を決める
お遍路の途中で3日前を基準に予約するのがよい (出発前に全行程の予約などしない方がよい)
予約する時に食事の有無、 朝食の可能時間 等を確認するとよい ⇒個人遍路宿が廃業・消滅しつつある
・ 民宿・旅館 についての希望
食事の美味しい宿がいちばんです
早い朝食時間に対応して貰える宿と宿が決めた時間以外には応じて貰えない宿がある
お寺の納経時間 (07時から 17時まで) を配慮して決める
洗濯機、乾燥機が設置してある事が必須です (特に雨天時には乾燥機が必須)
使用料が有料と無料の宿がある
乾燥機の無い宿もある
中には [靴乾燥機] まで準備してある宿もある (柏峠入り口の [かめや旅館] )
出発時に昼飯などのお接待がある宿は嬉しい
遍路道から余り離れない宿がよい (経路上で選ぶのがよい)
その日の最後に打ち終えるお寺から引き返すような宿を選ばない (前進のみ)
宿の名前・名称と中身・実態は大差があることがあるので、先人の遍路日記(出版物やホームページなど)を参考にすると良い
・ 宿舎を出発できる時間、 宿舎からお寺までの距離、 納経時間 などを配慮して選ぶ
宿舎を早く出発し、お寺に早く到着できても 7時以前は納経して貰えない
・ ビジネスホテル(BH)はプライバシイが保て、気楽です
BHと名の付く宿でも千差万別、雲泥の差があるので要注意 (事前に情報入手)
大都市(県庁所在地)のBHは案外割安で利用しやすく、インターネット完備も多い (BH 香訪苑、ホテルNO1松山 など)
ビジネスホテルでは食事ができない事があるので事前に確認し、到着前にコンビニで購入して行くのがよい
入浴 (何時でも、何度でも)、出発時間 が自由にできる
寝坊しないことが肝心です ⇒モーニングコールの活用
・ 宿坊や旅館の中には団体客を優先し、歩き遍路は泊めて貰えないか冷遇される事もある
(9)、宿での大切な仕事
* 疲れた身体で宿に到着したら、やらなければならない事が沢山あるので 手際よく片付ける必要がある
* 洗濯機、乾燥機、物干し場、浴場、トイレなどは同宿者と競合するので、
宿には早めに到着し、早めに出立するように計画する
・ 洗濯と乾燥
日照時はできるだけ外に干す
朝、出発までに乾燥が完了するように
雨降りの当日は濡れた靴に古新聞などを詰めておくと乾燥を早める
・ 入浴
歩き遍路の最高の楽しみは入浴です
・ 身体の整備 (肉刺や筋肉痛の手当て、 柔軟体操、 マッサージ など)
・ 明日、明後日の天気予報、その後の天気概況の確認
・ 3日後までの宿の予約と確認
・ 明日の歩き遍路の計画、 身仕度の準備、
経路 ・里程 ・難易度 ・宿舎 ・食事 ・その他の見直しと再確認
朝食は?・ 昼食は?・ おやつは?・ 装具・持ち物は?・ 衣類は?・
・ 夕食はゆっくり、楽しく語らいながら
同宿のお遍路さんと語らい、親交を深めよう
・ 明日の準備 ・支度
・ 当日の整理 と 記録
・ 早めに就寝
C 霊場に関する資料
「般若心経」 :
★ [[ 般若心経 ]]
[ プリントアウトして 歩き遍路 に活用して下さい ]
★ [[ 現代語訳 ]] (ひろさちや氏)
観自在菩薩がかつてほとけの智慧の完成を実践されたとき、肉体も精神もすべてが空であることを照見され、あらゆる苦悩を克服されました。
舎利子よ。 存在は空にほかならず、空が存在にほかなりません。
存在がすなわち空で、空がすなわち存在です。 感じたり、知ったり、意欲したり、判断したりする精神のはたらきも、これまた空です。
舎利子よ。 このように存在と精神のすべてが空でありますから、生じたり滅したりすることもなく、きれいも汚いもなく、増えもせず減りもしません。
そして、小乗仏教においては、現象世界を五蘊(ごうん)・十二処・十八界といったふうに、あれこれ分析的に捉えていますが、
すべては空なのですから、そんなものはいっさいありません。
また、小乗仏教は、十二縁起や四諦といった煩雑な教理を説きますが、すべては空ですから、そんなものはありません。
そしてまた、分別もなければ悟りもありません。
大乗仏教では、悟りを開いても、その悟りにこだわらないからです。
大乗仏教の菩薩は、ほとけの智慧を完成していますから、その心にはこだわりがなく、こだわりがないので恐怖におびえることもなく、物事をさかさに捉えることもなく、妄想に悩まされることもなく、心は徹底して平安であります。
また、三世の諸仏は、ほとけの智慧を完成することによって、この上ない正しい完全な悟りを開かれました。
それ故、ほとけの智慧の完成はすばらしい霊力のある真言であり、すぐれた真言であり、無上の真言であり、無比の真言であることが知られます。
それはあらゆる苦しみを取り除いてくれます。真実にして虚妄ならざるものです。
そこで、ほとけの智慧の完成の真言を説きます。
すなわち、これが真言です。
「わかった、わかった、ほとけのこころ。
すっかりわかった、ほとけのこころ。
ほとけさま、ありがとう」
「光明真言」:
「 おん あぼきゃ - べいろしゃのう - まかぼだら「御 宝 号」:南無大師遍照金剛
- まに - はんどま - じんばら - はらばりたや- うん 」
巡拝中のお遍路はいつも大師様と一緒で、歩き始めたら自然の中に身をまかせ、つらいことがあっても、
どんな悪天候に遭遇しても 「これも修行のひとつ」 と考えることが大切と書物に書かれております
また、山中や海岸など人気のない処では 御宝号 「 南無大師遍照金剛 」 を唱えながら歩きます
「霊場参拝の作法」:
(1)、霊場へ到着すると、まず手水を使って身を浄める
(2)、服装を整え、輪袈裟をかけ念珠を持つ
(3)、灯明 と 線香 をあげ 、お賽銭をあげる ローソクは上段から 、線香は中央から立てる
(4)、納札 、写経(持参の場合) を納める
(5)、礼拝順序は本堂 、大師堂 、その他の堂 本堂 、大師堂の備え付けの鐘を打つ
(6)、読経 ( 合掌のあと心静かにお経を唱える )
案内書に、本堂、大師堂での読経は 「御 宝号」、「般若心経」、「光明真言」の 3つは欠かさないようにと書かれている
(7)、納経所に行き 納経帳に「納経」して貰い、「お姿」を頂く
・ 納経:ご本尊と寺名を墨書して貰い、代金\300を支払う (朝07時から夕方17時まで)
・ お姿:各お寺の本堂にお祭りされているご本尊の姿を黒インクで印刷した65×121mmの和紙で、
納経を済ませると 1枚づつ渡される
(8)、山門で手を合わせ感謝の念を以てお寺を後にする
「納札の色」:
普通 白色です
おへんろの回数を重ねろと 色のついた納札を使う習慣があります
即ち、
最初は 白色の納札、
5回目から 緑色、
8回目になると 赤色、
25回目からは 銀色、
50回目からは 金色、 そして
100回目からは 錦 と云う織物のような生地
の納札を使います。
左から 錦、 金、 銀、 赤、 白、 の納札です
( 何れも遍路の途中で頂いた貴重な品です )
「無財七施の修行」:
お金が無くても誰でも毎日実行できる仏さまの行い。「施」とは「施し」「ご布施」のこと
- 「 房舎施 (ぼうしゃせ) 」 : 自分の家を一夜の宿に提供する心。 相部屋を厭わない。 人を家に泊めてあげること。
- 「 床座施 (しょうざせ) 」 : 自分の席や順番など良い所を他人に譲り、自分は悪条件の処で我慢すること。
- 「 身施(しんせ) 」 : ゴミを拾ったり、人が落としたものを拾ってあげたり、困っている人を見たらすぐに手助けしてあげること。
- 「 和顔施 (わがんせ) 」 : 何時も笑顔を絶やさず、目が合ったら笑顔を還すこと。
- 「 言施(ごんせ) 」 : 人に温かい思いやりのある優しい言葉をかけること。
- 「 眼施(げんせ) 」 : いつも優しいまなざしで人と接すること。
- 「 心施 (しんせ) 」 : 後から続くお遍路のためにも思いやりの心で接すること。
「十善戒の戒め」:
身(からだ)と口(くち)と意(こころ)のはたらきを全て正して 生きていくことを心に誓い実践する
- 殺生しない
- 盗みをしない
- 邪淫はしない
- 嘘をつかない
- お世辞を言わない
- 悪口を言わない
- 二枚舌を使わない
- 欲張らない
- 怒らない
- 誤った考えを起こさない
「各国(県)の特徴」
- 「発心の阿波道場」 (約200km) → 23寺
- 「修行の土佐道場」 (約450km) → 16寺
- 「菩提の伊予道場」 (約400km) → 26寺
- 「涅槃の讃岐道場」 (約200km) → 23寺
「霊場の宗派」:
88のお寺の内、殆どのお寺が「真言宗」ですが、真言宗以外の寺は下記の通りです
- 11番 藤井寺、33番 雪蹊寺 は 「臨済宗」
- 15番 国分寺 は 「曹洞宗」
- 43番 明石寺、76番 金倉寺、87番 長尾寺 は 「天台宗」
- 59番 国分寺 は 「真言律宗」
- 80番 国分寺 は 「古義真言宗御室派」
- 82番 根香寺 は 「天台系単位」
「同名の霊場」:
- 「国分寺」 : 15番寺、29番寺、59番寺、80番寺
- 「大日寺」 : 4番寺、13番寺、28番寺、
「特に難所の霊場」 :
- 「遍路ころがし」 ⇒12番 焼山寺、20番 鶴林寺、21番 太龍寺、81番 白峰寺
- 「4つの関所寺」 (心がけの悪い人は山門から先へ進めないという) ⇒19番 立江寺、27番 神峯寺、60番 横峰寺、66番 雲辺寺
つづく